実習生を受け入れる日本企業について
技能実習制度が特定技能枠のほうへ移っていくのは時間の問題かと思われます。この実習生を雇う不良な企業に対して世間の非難もよく聞かれましたが、ある実習生受け入れ企業では、
「悪い企業ばかり記事になるがちゃんとしている企業もあるということをもっと報じてほしい」
という意見を出していました。不良なベトナム人が日本で記事になりやすいのと同じようなものです。技能実習生って留学生と違って特定の業界にしか携わらないんで、日本人全体から認識されにくいのが実情です。まあ上の人が言っていることも分からんではないです。
ちょっとこの部分について私なりの考えを書き留めておきます。
1、制度自体に無理がある
技能実習制度とは新興国への技術支援を建前に日本の技術を学んでもらい、帰国後に母国でその学んだ技術を生かして国の発展に寄与するというもの。しかし実態は出稼ぎで、その実習生が帰国後に学んだ技術を生かした仕事に就いているのはほとんどいない。そしてこのことは受け入れ企業も理解をしているのがほとんど。
そもそも帰国後の就職先が保証されているわけでもなく、たとえ日本で経験した仕事を希望したところで、就職口がなければ生活をやっていけませんから関係のない仕事に就くのは仕方がないかと。
2、技能実習生は支援されているのか支援しているのか
出稼ぎとか、技術支援などと言うと日本側が技能実習生を助けているような感じに聞こえますが、受け入れ企業のほとんどは人手不足で悩んでいて、日本人よりも安い賃金で雇っているわけです。こう考えると寧ろ日本側が外国人に支援されているという自覚を持つべきではないでしょうか。
3、見え隠れする労働力搾取
最低賃金を下回ったり、激安な残業代、過度な天引きなどがよく報じられています。中国人からベトナム人実習生にシフトしたある日本企業の社長の言葉:
「最近の中国人は経済が豊かになって昔のように真面目に働かなくなった。それに自己主張が強すぎる。」
この言葉を聞くとまるで中国人が悪くなったように聞こえますが、色々な話を聞くとあながちそうでもなさそうです。中国人寄りに意見を出すとこうなります。
・昔のように真面目に働かなくなった⇒そもそも低賃金且つ3K職場でモチベーションを維持する方が難しい。
・自己主張が激しい⇒搾取されていたら労基に訴える。つまり主張が激しいというのは、労働基準法に違反した就業を訴えることを指す。
実習生のコスパが悪くなれば次の経済弱小国へ移るわけですから、ベトナムでも将来同じことになるでしょう。特に最近はSNSの普及で黒いうわさは一気に広まりますから10年以上前のようにはいきません。
4、ちゃんとした企業
これはいわゆる違法なしにしっかり実習生を雇っている会社です。実習生はお金を稼げて満足ですし、企業側も人手不足の解消を担ってくれて助かるという間柄が成立しています。ここがポイントですが、そんな企業が少ないかというと寧ろ多数派です。この金銭的なコスパと共に会社内での人間関係が良好であれば、これは本当に幸運なことだと思います。お互いにとって理想的な状況ですが、これも両国の圧倒的な経済格差があって成り立つ前提です。日本人に実習生と全く同じ環境で働けと言われたらほとんどの人は拒否しますから。
まあ不良な企業もあれば不良な実習生もいて、極力その数を減らすために各方面が取り組んでいるというのが現状です。じゃあ何%程度の不良率であれば許容範囲なのかという問題でもないんでしょうが、少なくとも0%は無理でしょう。