ベトナムってどうなん?

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技能実習生はベトナム国内でどのように報道されているか?

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最近は技能実習生に関する報道が日本でも増えてきており、直接かかわらない人でも存在を認識している人も増えているように思います。今年の4月から始まった特定技能枠が将来実習生にとって代わるという話もありますが、いずれしても外国人労働者についての問題は今後もしばらく続いていくことになるでしょう。

 

ところで日本で不遇な目に遭った実習生はベトナムへ帰国後、ジャパンヘイトになることが多々あります。日本で違法な就労や劣悪な環境に放り込まれた場合、ベトナム国内でもそれについてニュースなどで紹介されてもよさそうなものですが、特にそういった報道はありません。だいたいはフェイスブックなどを通じて個人で発信しているにとどまります。少しその辺りについて掘り下げてみましょう。

 

・現地では「技能実習生」とは認識されていない

「技能実習生」とは建前上、技術を学びに日本へ行くという日本側の呼称ですが、ベトナムではその人たちを実習生とは呼びません。実習生が日本へ行く前に教育を受ける送り出し機関とその関係者内で呼ばれているに留まります。なので実習生やその関係以外の人に、「実習生」にあたるベトナム語「tục tập sinh」と言っても、「???」といった反応が返ってきます。

では現地ではどのように呼ばれているのか。実際は「xuất khẩu lao động」、日本語に訳すと「労働派遣」と現地では認識されています。これは日本に限らず他国へ「出稼ぎに行く人」を指す言葉でして、日本に行く労働派遣者だけ技術を学びに行くわけだから呼称も別にするということはありません。そもそも技術を学びに来るという建前の認識は日本だけが勝手に思ってるぐらいの感覚で見ていたほうが良いかと思います。

 

・ベトナムで報道される労働派遣とは

時事ニュースでこの労働派遣について報道される場合、どの国へ何人働きに行ったとか、労働派遣者が外国で稼いだ額が総額でいくらだったかといった統計的なものになります。もう少しマイナーなニュースではそれ以外の報道もあるのかもしれませんが、多くの人が目にする国営ニュースではその程度にとどまります。日本で実習生が事故で無くなることが時々ありますが、それもベトナムでは特に報道されている気配はありません。日本人が海外で事故死したら普通は報道されるものなんですがね。。。

 

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・報道機関が国営であるという点

ここからは私の推測です。ベトナムは報道の規制がありますし、メインの放送は全て国営です。日本で悲惨な目にあった実習生を報道することにより日本嫌いな人が増えたり、日本へ働きに行く人が少なくなってしまうと色々と困ることがあるのではと考えます。海外へ働きに行く人が減って外貨の獲得が下がると今のベトナムにとっては痛手ですし、反日が増えると外交的にも厄介なのかと。それ以外にもっと根が深いものもあるのかもしれません。

 

情報操作と言うと良い言葉には聞こえませんが、ものは考えようで、今の自国にとって最良最速の発展を遂げるためという考え方もできるかもしれません。日本やアメリカ、韓国に対してもそうですが、過去の戦争でベトナムが味わった諸外国の蛮行があるにも関わらず、今のベトナム人のほとんどは上記の国に対して好意的です。報道の仕方次第でその国に対する印象はいくらでも操作できるでしょうから、ベトナムの他国に対する姿勢がうかがえます。

 

しかし一つ気がかりなのはそういった経済大国を気にする必要がないぐらい仮に経済が発展したとすると、今の姿勢がどのように変わるのかということ。これは私の中での杞憂であってほしいものですが。。。