ベトナムってどうなん?

ベトナム人と家庭を築きながらベトナムを考える

ベトナム人実習生を募集するブローカーとは

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最近実習生関係の記事が多いですが、この手の話題はベトナムでも多く、いろいろ考えさせられるのでお許しください。実習生関係の話はこちらに住んでいるからこそ見えるものが多いのが実情です。

 

技能実習生に関わったことのある方なら、彼ら彼女らが日本にやってくるために多額のお金を関係者に支払っていることはご存知かと思います。ざっくりと100万円近くをベトナムの実習生斡旋企業(送り出し機関と呼ばれています)に納めていますが、大半は借金をして準備することになります。

 

で、この借金を完済&貯蓄を目指して日本に来るわけですが、思ったほど稼げない企業に配属されると借金地獄に陥ります。結果失踪の不法滞在につながりやすくなるというわけです。

 

そこで日本側が考えるのは、

「送り出し機関が金を取りすぎなんじゃね?」

ということ。確かにこの送り出し機関に支払う額はかなり高額で実習生にとって大きな負担になっていることはいうまでもありません。そこで日本側とベトナム側でそのあたりを調整して、送り出し機関は実習生から3600USD(40万円程度)までしかとってはいけないという決まりを作りました。

 

これによって「もうこれで大丈夫だ!」と胸を撫で下ろす日本の実習生受け入れ企業。そして「法律で3600USDまでしか取ってはいけないんだ!」とドヤ顔で語る日本の実習生管理団体。

でも現実はそんなに甘くないんですよ、これが。

 

まず3600USDまで取ってはいけない決まりというのは、日本側に対する社交辞令みたいなものです。実際は6000USD程度までなら国からも目をつぶってもらえると現地の関係者は言います。またこの金額というのはあくまで会計処理として表に上がってくる額です。

どういうことかというと、直接手渡しで渡すお金のことです。個人間での金銭の授受ですので、国はおろか所属の企業でさえ正確な額を把握することができません。

 

もう少し詳しく突っ込んで書きますと、実習生はフェイスブックや求人サイトに載っている日本の求人を見て応募をします。この求人掲載をしている人がタイトルの「ブローカー」になるわけですが、この求人に応募して送り出し機関へ入学するための口利き料が発生します。この金額は場合によって10~30万円程度と言われています。

 

結局上の会計上処理される金額とブローカーに支払う口利き料を支払い、さらに送り出し機関で半年ほど日本語を学ぶ生活費などを合わせると、あっという間に100万円近くになるわけです。

 

日本人目線で言うと「そんな腐敗した仕組みは理解できん」ということなんでしょうが、ブローカーからしたら「人手に困ってんのはそっちなんだから、もっと稼がせてやれよ」という考えになります。

 

日本の実習生管理団体もベトナムに視察だのでちょいちょい来るだけではそのあたりまで理解するのは難しいのかもしれませんね。まあすでに来日した実習生の管理に忙殺されるので、そこまで気にしてられない事情もあるのかと思います。

送り出し機関ではブローカーは「募集部」と呼ばれていますが、日本から来た人がこの募集部と会うことはほとんどありません。殆どが「対外部」と呼ばれる営業担当者が対応します。

 

ちなみに日本の受け入れ企業が視察ということで現地の送り出し機関を訪問することがあります。そこで様々な接待を受けるわけですが、その接待費も実習生が請け負っているということは知っておくべきでしょうね。現地のキャバクラでバカ騒ぎしている輩に実習生が貢いでいると考えると何とも言えない気分になります。