謝らないベトナム人について
謝罪文化の日本からしたらベトナム人は何で謝らないのかというは共通の疑問。もちろんきちんと謝る人もいますが、謝らない人の割合が日本よりかなり多いというのは皆が知るところです。
どこぞの記事で、「ベトナム人が謝らないのはお互い心が広いから」と書いていましたが、正直これには疑問です。街中でキレ散らしているベトナム人を見ることも多々ありますから、少なくともベトナム人が怒らない気質かと言われるとそうではありません。仮に家族のように近い見知った仲で、謝罪をあまりしないというのであればまだ頷けます。
しかし全然知らない人に対して、明らかに自分の過失であるにもかかわらず謝罪をしない人が一定数いるというのは、習慣というしかありません。要は何か悪いことをしたらまず言葉で謝らなければならないという環境で育っていないということです。
では謝る基準が何なのか?これは日本人でも人によって多少の違いがありますが、ベトナム人同士が謝るときの場面を観察して、何となくみえてきた部分があるので紹介します。
まずベトナム語で「スミマセン」は「xin lỗi」。直訳すれば「誤りを請う」となります。文字取り、自分がした悪いことについて詫びるという意味です。
この「自分がした悪いこと」というのが一つのポイントでして、ベトナムでは日本ほど第三者のしたことについて自ら詫びるという習慣がないように思います。以下に具体例を挙げてみます。
①上司が部下の行った非礼を顧客に詫びない
ビジネスの場でよくあるパターンです。部下のミスを上司が責任をとって先方に謝るということがベトナム社会ではあまりありません。下手したら「ミスしたのは部下で自分は何も悪いことをしてないよ」ぐらいの主張をします。まあよくて自分が謝らず部下に謝るようにさせるといったところでしょうか。「日本の責任者出せ」フレーズは通用しません。
②自分の子どもが他人に迷惑をかけたとき
自分の子どもが走り回って他人にぶつかったとしましょう。親はぶつかった子どもを叱っても、子どもがぶつかった相手に対しては謝りません。幼い子どもの場合、親が代わりに謝るのが日本の常識ですが、こちらではその意識は低い模様。ぶつかられた人の心理が毎度気になります。
③日本で言う言い訳、責任転嫁
日本でいう言い訳、責任転嫁というのもこちらでは立派な理屈として成り立つ場合があります。例えば遅刻した場合、渋滞や大雨での遅刻では謝る必要がありません。自然現象というのは立派な理屈でして、それを見越して早く出ようと考える人は少数です。こういったことは様々な場面で見受けられます。
上記のようなことはベトナムの習慣なので、ベトナム国内でベトナム人にこれを謝らせるのは理解しがたいのかなと。ただしこれから日本へ行く人や、日系企業で働くような人に対しては後々のトラブルを回避するためにもしっかり教えておく必要があります。
これら以外で明らかに自分に非があるにもかかわらず謝罪しないのは、ベトナム人同士間でも単に人間的にできていない人という判断ができそうです。