ベトナムってどうなん?

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ベトナム人に発音を教わると?

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外国語の発音はネイティブに教わるのが一番と言います。確かにネイティブはその人が標準語を話しているのなら一番お手本となる音声ですが、自分が発音を習得するという観点からいくとネイティブ至上説は果たして本当にそうなのでしょうか?今日は発音の学びについて書きます。

 

ベトナムに渡った当時、ベトナム語を勉強していて分かりにくいところが出てきた場合は周りのベトナム人に聞いていました。しかしそのベトナム人たちも発音に関しては自分で声に出して聞かせる程度でしか教えることができなかったものです。

 

例えばベトナム語で「いいえ」を表す「không」。巷の参考書でカタカナのルビが振っているのを見ると「ホン」と「コン」のどちらかが書かれています。ではどちらなのかということでベトナム人に聞いたところで、実際に言って聞かせるということに終始します。つまり「ホ」でも「コ」でもないわけで、聞いて理解しろということです。ここからでもベトナム語をカタカナ表記することがナンセンスであることが分かります。

 

しかしこれを発音が分かる日本人に聞くとまた違ったアプローチになるかと思います。もし私が同じことを聞かれた場合、「ホ」と「コ」の間、喉の奥に溜まった痰を吐き出すときに出るような音と言うかもしれません。実際にその音を出して聞かせれば、多分分かってもらえるかと。

 

あとやっぱり日本人が苦手な「â」の発音。なまじアルファベットの[a]があるからどうしても日本語の「あ」の音に引っ張られやすくなるようです。これも私だったらみぞおちにブローをくらったときに出そうな音、と言いますかねぇ。文章で見ると分かりにくいと思いますが、実際に聞くとすぐ真似できる音です。そっくりそのままとはいきませんが、音の種類をイメージする分には十分な例かと思います。

 

日本人にとって「難しい音」というのは「日本語には無い音」というわけですが、「日本語には無い音」が必ずしも「発音できない音」というわけではありません。音の出し方のきっかけをつかむことさえできれば、案外すんなり発音できるようになるものも結構あります。因みにもうちょっとアカデミックに「kh」は「軟口蓋摩擦音」などの説明もあるかと思います。ただこの手の言い方は音声学の知識がある人にしか通用しないので実用度は低いです。

 

ネイティブに発音を教わると正しい発音を聞くことができるのですが、自分の発音のどこがおかしくて、また正しい発音に近づけるためにどのようなアプローチがあるかといったところまで教えてくれる人は滅多にいません。それができるネイティブは本当に優秀な発音の先生だと思います。

 

 (余談ですが以前日本語を勉強しているベトナム人から、ひらがなの「に」の発音は「ni」か「nhi」のどっちだ?と聞かれました。日本人が聞けばどちらでも「に」と解釈しますが、この場合は「nhi」と答えるほうが「に」に近い音かと思います。)