ベトナムのAuchanスーパーが撤退して起きたこと

フランス資本で「Auchan」というスーパーがあります。ベトナムに数店舗出していてそれなりの売り場面積を持っているスーパーですが、業績不振によりベトナムからの撤退を決めたようです。私の近所にも店舗があり、売り場の大きさや品ぞろえの割には、いい感じでいつも人がまばらでした。人込み（特にベトナムの）が嫌いな私にとっては結構ひいきにしていたスーパーだったので残念です。

特に他の大手スーパー「VinhMart」や「BigC」などど遜色ないにも関わらず、こんなに人が少ないのはどうしてかと思い、嫁に聞いてみるとこんな返事が返ってきました。

「Auchanはスーパーだけで他の娯楽施設が併設してない店舗が多いでしょ？ベトナム人にとってスーパーに行くっていうのはただ日用品を買うだけじゃなくて、ついでにカフェなり娯楽施設で遊べるようなところを求めてるのよ。ただ食材を買うだけなら市場で事足りるし。」

なるほど。経営戦力の失敗原因はベトナム人の心理を読み切れなかったというところでしょうか。確かに連日賑わっているイオンモールはスーパーに限らずそれ以外の娯楽施設が充実しています。ベトナム人にとってスーパーは総合的に楽しめる場所じゃないとダメなのね。。。

さてそんな撤退を決定したAuchanですが、全商品20～50％オフのセールを実施しました。そうなると日頃来ないベトナム人も殺到します。そのスーパーの関係者は予想を超える人数が殺到したことにより、人員が追いつかずオペレーションがパンクしてしまったとのことです。

具体的にはレジが混雑しすぎて、精算が終わる前のものを勝手に開けて食べだす客。人がごった返してカオス状態なので、どさくさに紛れて万引きする客などが頻出したとのこと。ニュースでも報道されていましたが流石はベトナム、何でもありです。

こういう混沌としたところでどういう振舞いに出るかはその人の素がはっきり出ると思います。閉店セールで我先にと殺到するのはともかく、こういった大衆レベルで秩序立てた社会を形成するにはまだまだ時間がかかりそうだと感じた事件でした。