ベトナムってどうなん?

ベトナム人と家庭を築きながらベトナムを考える

「文明的なベトナム人」とは?

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通勤途中にある集落昔からの地域を抜けて職場へ行きます。そこはハノイですがまあ感覚的には田舎っぽいところです。で、バイクで走っていると反対から別のバイクがこっちに走ってきます。と思ったら急にそのバイクが停車して後ろに乗せていた奥さんを旦那さんが殴り始めました。

 

一体何があったのか?と呆気にとられる私を脇に、身の危険を感じた奥さんはバイクから降りて走って逃走。旦那さんも即座に走って追いかけます。当然逃げ切れるはずもなくすぐに捕まり、引き続き殴り続ける旦那さん。さすがにヤバいと思った通行人が止めに入ります。

 

ほんの1分程度の出来事で私はすぐに通り過ぎたのですが、なかなかインパクトのある光景でした。ベトナムの夫婦でDVの話は聞きますが、家の中ではなく外でここまで露骨に殴っているのを見たのは初めてです。男が女をそこまで殴るのを見る機会は滅多にありません。一体どんな事情が背景にあるのでしょうか。そんな出来事を嫁に話してみると、

 

「田舎はそういうこともあり得るかな。」

 

とのこと。そんなことを言うと田舎の人が怒る気がしますが、嫁もハノイの似たようなところからの出なので、何となく言わんとしていることは分かります。都会的な人と比べて田舎の人のほうが本能的な行動をとる人は多いと思います。

 

「văn minh」というベトナム語がありますが、日本語で「文明、文明的な」と訳されます。日本語のニュアンスで行くと「文明と言えばどれだけ古代なのか?」と思うかもしれませんが、こちらでは現代でも普通に使われている言葉です。

 

例えばモラル啓発のために自分勝手な振る舞いを注意するような場合、

「文明的な生き方をしよう」

と言ったり、あるいは古い農村で汚いイメージのある地域をきれいにする運動で、

「文明的に農村を発展させよう」

なんて使われ方をしています。この「văn minh」がそのまま上の出来事にも当てはまるわけで、上のような旦那さんは「văn minhじゃない人」みたいな言われ方をします。このケースを日本語に置き換えるなら「粗暴な人」、「野蛮な人」といったところでしょうか。同じように立ちションをしたり、ゴミのポイ捨てをするような人も同じく「văn minhじゃない人」扱いになります。

 

私もこの言葉の使い方にすっかり慣れてしまったので、何か当てはまることがあった際にはよく使っています。しかしまあずっとベトナムに住んでいると無意識のうちにベトナムの感覚に慣れてしまいますので、日本に行った際に「văn minhじゃない人」と思われないよう注意したいものです。