ベトナムってどうなん?

ベトナム人と家庭を築きながらベトナムを考える

仕事にやりがいを求める日本人

最近の若い日本人は仕事に対してお金よりもやりがいや、プライベートの時間をどれだけ確保できるかを重視すると聞きます。その考え方を否定はしませんし、私もどちらかというとそちら派です。一昔前の日本のように過度な残業や仕事帰りの付き合いを最優先するような在り方は徐々に過去のものとなってきているようです。

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私のような現地採用者は比較的その若い人が考えるような生き方をしている人が多く、どちらかというとプライベートが充実している人も多いです。出会った会社が悪ければ薄給で擦り減るような働き方を強いられる企業もありますが、その場合は身軽に転職の道を選べるのも現地採用の特権といえば特権でしょう。まあ日本の正社員よりは待遇面では恵まれていませんので、そのあたりの自由さはあってもいいと思います。

 

ところでお金よりもプライベートをという考え方はある程度の生活資金が確保できる前提で展開されるものだと思います。ベトナムではまだまだこの「ある程度の生活資金」を確保できるような仕事に就いている人は少ないです。どちらかというと物欲的な嗜好が高く、お金を稼ぎたいと考える人が多いので給与額の高さというのは多くの人にとって最大の魅力になるわけです。ただ家族愛が強いので家庭を犠牲にして仕事に没頭するという人は稀ですが、少しでも給料のいいところがあれば転職を考えるという人が多いのは否めません。

 

時々日本人がベトナム人を採用するときの口説き文句で、

 

「給料はそんなに高くないが、多くの人に感謝されるようなこの仕事にやりがいをもって働いてほしい」

 

というような人がいます。まあ日本でいう「夢のある仕事」とかに近いようなものです。しかし当のベトナム人にこんなフレーズを言っても響くわけはなく、ほとんどの人は、

 

「そういうことはせめて日本人並みに給料を提示してから言ってくれ」

 

と内心思うわけです。確かにベトナム水準の質素な生活費に少しばかり上乗せした程度の給与で、そんな「やりがい」なんか言われてもそれどころじゃないというのが本心でしょう。ベトナムにある程度住んでいる人やベトナム人の経済状況をよく理解している人ほどそういったことは分かっているので、そんなフレーズを言うことはないんですけどね。

 

そこで「ベトナム人は金だから・・・」と割り切って考えるのも少し違う気もしますが、少なくとも人事を司る立場としてはそれぐらいの感覚でいたほうが変な意識のズレは起きないと思います。