ベトナムってどうなん?

ベトナム人と家庭を築きながらベトナムを考える

南部人から見る北部人のベトナム語

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ベトナムは縦に長い国ですので、地域を大きく「北部・中部・南部」と3分されます。首都ハノイのある北部は政治の中心、ホーチミン市のある南部は商業の中心として栄えています。(最近は中部の都市ダナンはリゾート開発に頑張っています)

この3つの地域ごとにベトナム語の特徴も分かれておりまして、ここではハノイ人とホーチミン人が話すベトナム語について少し触れておきます。

 

一般にベトナム語の標準語はハノイで話されておりまして、日本で手に取る市販のベトナム語の教材もハノイ弁に則ったものがほとんどです。時々ホーチミン弁を解説している教材もありますが、まだまだ質、量ともに十分ではないのが現状です。

で、この2つの地域で話される言葉の違いの特徴として発音が挙げられます。日本では全国どこへいってもひらがなの発音に違いはありませんが(厳密にはありますが)、ベトナムでは明らかに違う音として発音されるため、その発音を聞けばどこの地域の出身なのかがすぐに分かるようになっています。日本でいうイントネーションの違いで出身地を判別するというのと似て非なるものです。

 

少し代表例を分かりやすくカタカナ発音で紹介すると、

 

「r」の音はハノイは「ザ」、ホーチミンは「ラ」

「d」の音はハノイは「ザ」、ホーチミンは「ヤ」

 

となります。このカタカナ発音で見ても分かる通り、ハノイでは綴りが異なっても同じ音声の発音として処理されておりまして、ホーチミンではしっかり発音の区別がされています。似たようなパターンが他にいくつかあるのですが、総合的にホーチミン(南部)の人のほうが多くの発音を用いてベトナム語を話しているということになります。なのでホーチミンの人でハノイ人より発音を多く使いこなしているから、自分たちのほうが言語的に勝っていると思っている人もいると聞いたことがあります。

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また上の例以外にもあるのですが、ハノイではホーチミンより発音に濁音(「ザ、ゾ」など)が多いので、ハノイ人はザーゾー発音がやかましいと感じているホーチミン人もいるのだとか。私はずっとハノイにいますので特に気にはなりませんが、ホーチミンの人のベトナム語を聞くと確かに柔らかい印象を受けますので女性が話すと優しい耳ざわりの感じに聞こえます。なので私もときどけ嫁に「南部の発音で喋って!」とお願いしますが、「はぁ?」みたいな対応をされます(笑)

 

ただ標準語はハノイですので、ホーチミンの人もハノイの言葉を話そうと思えば話せるそうです。ただホーチミンでハノイの言葉を話していると、「ホーチミン語を話した方が打ち解けやすいよ」ということを言われることもしばしばあるようです。

因みに中部の発音はさらに特殊でして、ベトナム人でも他の地域の人が中部人同士が早口で話していると何を言っているのか分からないらしいです。なのでもちろん私も分かりません。